『カラー化された第二次世界大戦』
1939年(昭和14)年9月1日、ナチス=ドイツのポーランド侵攻で始まった第二次世界大戦。以来、6年間、およそ60か国が参戦し、大量破壊兵器が投入され、世界中が戦場と化した史上最悪の戦争である。
この戦争の様子は、小型化された映画カメラの発達により、各国の従軍カメラマン達によって克明に記録された。本作は、その白黒映像を最新のデジタル技術を駆使してカラー化し、その映像を使って戦争の主要な局面を再構成したものである。
もとより私は白黒映像への着色には懐疑的であり、本作もほとんど期待せずに購入したのだが、これはいい意味で想定外であった。まさか最新のデジタル技術をもってすれば、これほど鮮やかに当時の映像がよみがえるとは微塵も思っていなかったからである。
残虐な映像も最小限度に留められており、視聴者の心情にもよく配慮していると思う。戦争の悲惨さを後世に伝えることは必要であるが、第二次世界大戦中の人の尊厳を無視したような惨たらしい映像は、もはやカラーでは正視することができないであろう。
あとは本作をきっかけに個々人が史料や文献から、この戦争を知ろうとするかどうかである。そういう意味では、是非とも家庭や学校などで子供達にも見せてあげてほしい作品と言える。大量殺戮と破壊の時代の人類の記憶を、これからも我々は大切に紡いでいかなければならないだろう。